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池上嘉彦東京大学名誉教授が日本語学院で学術講演

10月19日午後、日本語学院の招請に応えて、池上嘉彦東京大学名誉教授が明徳館の305室で“日本語と俳句”というテーマで学術講演を行った。日本語学院の教師、院生、大学生を合わせて100人あまりが講演に参加した。講演の進行役は孟海霞日本語学院副院長が務めた。

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池上嘉彦教授は松尾芭蕉の著名な俳句の英訳を例として、俳句を英語に訳す時、どのような問題が起き、また、どのような方法で解決するかを説明した。「俳句は世界最短の定型詩であるが、それなりの構造がある。また、日本文化では、交流中における言語障害の責任は聞き手にあると言われている。俳句はこの発想に基づいてできた文学形式と考えられる。従って、読者が俳人の立場に立ってその心理を十分に理解すべきであり、こうした積極的な鑑賞態度によって初めて俳句の理解と翻訳が可能になる」と指摘した。

今度の講演は学生に俳句を深く理解させ、言語学への研究興味を高めさせた。講演後、池上教授は学生の質問に熱心に答え、指導も行った。

池上嘉彦(いけがみよしひこ、1934年2月6日 - )1956年東京大学英語英文学専修課程卒業、同大学院修士課程修了。1969年イェール大学で言語学の博士号を取得。ミュンヘン大学、ロンドン大学客員教授を歴任。現在、東京大学名誉教授、昭和女子大学大学院特任教授。専門は記号論・意味論・詩学。2000年に設立された日本認知言語学会初代会長を務める。日本認知言語学分野における権威である。